ダイハツ アトレーワゴンとスズキ エブリィワゴン徹底比較!
- 執筆者 モータージャーナリスト 金子
- (@car_kaneko)
アトレーワゴン | エブリイワゴン |
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ダイハツのアトレーワゴンとスズキのエブリイワゴンは共にキャブオーバー型のセミ1BOXカーです。外観上はトールワゴンに似ていますが、エンジンを前席下にレイアウトすることが大きな違いです。
このレイアウトは現在でも商用車を中心に製造されており、乗用車では車内空間をフラットにできることが大きな特徴です。こちらのページでは両車の車内空間とそのユーティリティ、さらにエンジン特性について徹底比較を行います。
フルモデルチェンジしたばかりのエブリイワゴンが優勢!
アトレーワゴンの車内空間 | エブリイワゴンの車内空間 |
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車内長:1970mm 車内幅:1285mm 車内高:1350mm |
車内長:2240mm 車内幅:1355mm 車内高:1315mm |
アトレーワゴンとエブリイワゴンはダイハツとスズキの他車と同じく、激しいライバル関係にあります。
一方がモデルチェンジを行えば必ずすべての性能面でライバル車を凌駕、ライバル車は時期を置かずにモデルチェンジ、こちらも負けずに上回った性能を搭載してくるという関係を続けています。
アトレーワゴンは2005年にフルモデルチェンジを行い、同時期に発売された2代目エブリイワゴンを上回る性能を発揮しましたが、エブリイワゴンが2015年に3代目となった現在、すべての面でアトレーワゴンを上回っています。
エブリイワゴンのエクステリアを見ると、完全に直線的な面構成となっており、軽自動車のボディサイズ規格を下から上まで目一杯使っていることが分かります。
自動車の形として究極的なまでの箱型スタイルによって先代よりも車内の拡大を実現、さらに運転席と助手席のスライド幅を増やし、荷室床面地上高を低くすることに成功しています。
一方、アトレーワゴンはセミボンネット部分のクラッシャブルゾーンを長めにとっており、ボディの下側こそ軽自動車枠いっぱいの車幅となっていますが、上部へ向かうにしたがって絞りこまれています。
この両車のボディ形状の違いにより、車内長で270mm、車内幅で85mm、エブリイワゴンよりも狭くなり、かろうじて車内高で35mm優っています。
シートアレンジのユーティリティ性能はまったく互角!
アトレーワゴンのシートアレンジ | エブリイワゴンのシートアレンジ |
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座席を全部倒すとフルフラットになる他、レイアウトの自由度は高く設計されている | 座席だけでフルフラットが可能になるので車中泊をするために大きな改造を必要としない |
シートアレンジやユーティリティ性能に関しては両車に大きな違いはありません。後部席背もたれを前倒させればカーゴルームと一体化したフラットな荷室が作り出される他、後部席は左右分割なので長い荷物を積む時でも3名乗車が可能です。
前部席は下にエンジンがマウントされているので背もたれを前倒させても床面と一体になりませんが、逆に前部席と後部席の背もたれを後ろに倒すと座席面だけでフルフラットな空間を作り出せます。
これはエンジンが座席の下にあるので前部席を車体前方ギリギリまで出せる1BOXカーの大きな特徴で、エンジンをフロントにレイアウトしているトールワゴンやスーパーハイトワゴンでは不可能なシートアレンジです。
なお、両車とも広いカーゴルームを有効に使えるようにするため、スズキではユーティリティーナット、ダイハツではユースフルナットと呼ぶボルト加工用の穴が開いています。これらを活用すれば両車とも車中泊ができたりSUV的に使ったりと、幅広い利用法が可能になります。
パワフルな走りを求めるならエブリイワゴン!
アトレーワゴンのKF型インタークーラー付きターボチャージャー | エブリイワゴンのR06A型インタークーラー付きターボチャージャー |
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最高出力:47kW(64PS)/5700rpm 最大トルク:91N・m/2800rpm JC08モード:14.8km/L |
最高出力:47kW(64PS)/6000rpm 最大トルク:95N・m/3000rpm JC08モード:16.2km/L |
キャブオーバー型は例外なく後輪駆動を採用しています。
商用車の場合、荷室に荷物を積んだ際、前輪で駆動すると上り坂の際に後輪へ荷重がかかり、前輪が空転してしまう可能性があることや、前輪で駆動と操舵を行うとカーブで荷室の慣性モーメントが外側に働き、スピンしやすくなることが理由です。
両車とも、商用ベースを乗用ワゴンへ転用しているので後輪駆動となっていますが、軽自動車のほとんどが前輪駆動のため、ナチュラルな操舵感覚を持つ後輪駆動車が両車に限られていることも安定した人気の要因です。
また商用車は荷室に多くの荷物を積むのでパワーが必要なことから、両車ともにターボチャージャーを装着しています。
走行性能では似通ったフィーリングを持つ両車ですが、エンジンパワーに関しても車内の広さ同様、モデルチェンジしたばかりのエブリイワゴンが優位に立っています。
最高出力は軽自動車業界の自主規制によって47kW(64PS)に抑えられていますが、最大トルクはアトレーワゴンが91N・m/2800rpmであることに対してエブリイワゴンは95N・m/3000rpmを発揮、車重もエブリイワゴンの方が20kg軽いので(エブリイワゴンは970kg、アトレーワゴンは990g)、アトレーワゴンよりもパワフルな走行が約束されます。ただし燃費効率はどちらも悪く、エブリイワゴンはJC08モードで16.2km/L、アトレーワゴンは14.8km/Lに留まっています。
まとめ
軽自動車のセミ1BOXカーは車内が広く、操舵性はナチュラルな後輪駆動のため、安定した人気を保っています。最近では車中泊ができることをはじめ、自分の趣味に改造することが流行っていることから新車だけでなく中古車市場でも高値安定傾向が続いています。
しかし、軽自動車の中でセミ1BOXカーは両車を除くとホンダのバモスだけで、合計3車種しかなく、選択肢が限られてしまいます。
バモスの現行車は1999年に2代目が登場した後、フルモデルチェンジが行われておらずアトレーワゴンよりも古い基本設計のため、ベストチョイスは必然的にエブリイワゴンとなります。
ただし、ダイハツがこのままエブリイワゴンに優位性を与えたままにしておくわけがないので、アトレーワゴンのファンの人は新型車が登場するまで購入を控えた方が賢明です。
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