軽自動車の燃費測定方法とカタログ値、実測値の違い
軽自動車の燃費計測は普通車やその他の車両と同じく、国土交通省が定めたJC08モードと呼ばれる測定方式によって行われ、そこで弾き出された数値が各車のカタログ記載値となります。
実際の走行に近い形で計測されるものの、各メーカーともに計測方式に最適なデータを入力しているので、実際の走行における燃費とは差が生じます。
計測はどのような方法で行われるのか、なぜ実際の走行と燃費が異なるのか、ここで解説します。
1.JC08モードの測定方法
現在、燃費測定の基準となっているJC08モードはJがJapan、CがChassis(シャーシ)、08は2008年に測定方法が決定したことからそれぞれを組み合わせてネーミングされました。
ちなみにJC08モードが導入される以前の測定方式、10・15モードは市街地を想定した10種類の走行パターンと郊外を想定した15パターンによる測定を行うことからネーミングされています。
なぜJC08モードが導入されるに至ったか、そこから説明します。
1-1.JC08モードとは?
1Lの燃料でどのくらいの距離を走行できるか、という計測値です。
JC08モード以前は同じく1Lの走行距離を計測する10・15モードが採用されていましたが、実際に走行した時との燃費効率があまりにも異なるためにユーザーからクレームが相次ぎ、それを受けて国土交通省がより実走行に近づける測定方式にしたのがJC08モードです。
10・15モードの測定方式とはいろいろな点で異なりますが、もっとも大きく変わったのは10・15モードがホットスタート(エンジンが温まった状態)から始めていたことに対し、JC08モードはコールドスタート(エンジンが冷えた状態)から行う点です。
エンジンは暖気するまでの間、燃料を多く使うことからコールドスタートを採用したことにより、10・15モードよりも約10%、計測値が下がります。その他、平均速度や高速走行速度などが高められています。
1-2.どのような方法で計測が行われるのか?
各車種のカタログ燃費値を見ると、JC08モード欄に燃費値、その下に必ず『国土交通省審査値』と書かれています。つまり国土交通省が燃費値を認めている、という証がついています。
各メーカーともにJC08モードに匹敵する検査を行っていますが、最終的に走行燃費値を決めるのは国土交通省の審査機関である独立行政法人の交通安全環境研究所が行います。
実際の走行に近い計測を行うといっても野外に燃費計測のためのコースがあるわけではなく、屋内のシャーシダイナモメーターという大きなローラーがついた機械の上に乗せて走らせます。
この時、メーカー側が用意した車重や空気抵抗などのデータをシャーシダイナモに入力、負荷荷重を変化させて出てきた数値をJC08モード値として決定します。
2.JC08モード計測方法の問題点
2016年、軽自動車業界は三菱とスズキの燃費偽装で大きく揺れました。
他のメーカーも行っているのではないか、とユーザーが疑心暗鬼になるのも無理のない話ですが、この燃費偽装、内容をもう少し細かく見れば現在のJC08モードの問題点や両社の偽装方法の違いが分かってくるので、ここで解説します。
2-1.国土交通省の認証を得ているのになぜ偽装?
燃費偽装の対象となった三菱やスズキの車種のカタログ燃費値には、すべて『国土交通省審査値』が記載されています。
つまり燃費数値は交通安全環境研究所が決定した、ということになり、メーカー側が勝手に数値を変えたわけではありません。
それでも燃費偽装と言われるのは、シャーシダイナモメーターに入力するメーカー側の数値を操作したからです。
交通安全環境研究所はメーカー側が提出したデータを事務的に入力、シャーシダイナモメーターに計測させて、その結果を単純に燃費値として決定しているだけで、データの真偽に関してはメーカー側を、好意的な言い方をすれば全面的に信頼しているわけです(悪い言い方をすればお役所的仕事、となりますが)。
今回の燃費偽装は、交通安全環境研究所の検査体制では見抜くことができない方法だったために、『国土交通省審査値』のお墨付きを得られたと言えます。
2-2.三菱とスズキのデータ提出内容の違い
燃費偽装は交通安全環境研究所で行う燃費計速において、提出するデータが指定と異なっていたことから発覚しましたが、三菱とスズキでは異なる点があります。
簡単にいうと、三菱は明らかに燃費効率が悪くなるためにデータを改ざんしましたが、スズキは異なった測定方法のデータを提出したことによって、偽装と判断されてしまいました。
スズキは「実績値の積み上げによる走行抵抗値」をデータとして提出していましたが、それが交通安全環境研究所が定める基準と異なっていたことが偽装と判断された理由です。
しかし三菱の場合、最終的に燃費効率が10〜15%低くなることに対して、スズキは全車種、数%内に修正される見込みで、カタログ値から大きく変わることはないと予想されています。
3.カタログ値と実測値の違いはなぜ起こる?
JC08モードが実走行に近い燃費値を計測するといっても、当然、個人の走り方によって差は生じます。また日本自動車工業会では、実走行での燃費は全車ともにJC08モードよりも約20%低下する、という見解を打ち出しています。
そこで、もう一度JC08モードの測定方式を見ながら、なぜ実測値との違いが起きるか解説していきます。
3-1.JC08モードはあくまで平均値
JC08モードで計測する所要時間は1204秒、走行距離は8.172kmと決められています。
10・15モードはわずか660秒、4.165kmだったので、これに比べれば倍近く測定していることになりますが、それでも実走行ではホンの街乗り程度の距離です。
この距離の間にてコールドスタートから高速走行まで行うので、JC08モードはあくまで平均値でしかありません。
たとえば8.172kmを実走行で市街地ばかり走っていたり、高速道路を走行していても平均100km/hで走っていたりすれば当然、燃費効率は悪くなります。
また市街地で渋滞にハマれば1204秒はすぐに過ぎてしまいますし、その間、エアコンを始めとする電装品を多用すればガソリンを多く使うことになって、これも燃費効率が悪くなります。
3-2.実測値をカタログ値に近づけるためには
最近の軽自動車は燃費効率を上げるために、アイドリングストップや最適運転を行うためのガイドランプなどを装備しているので、カタログ値に近づけることはけっして難しいことではありません。
運転の仕方で燃費効率が大きく変わるのは確かですが、エコ運転のガイドランプに合わせて発進、走行するだけで燃費が向上します。
またスタートの際、時間的余裕があれば早めにエンジンをかけ、暖気しておくだけでも燃費に違いが出ます。高速道路では左車線で80km/hを維持すればJC08モードの計測方法と同じ速度になるので計算上、カタログ値に近くなります。
JC08モードはメーカーが燃費効率における最適の条件をデータとして提出し、それをシャーシダイナモメーターに入力して測定している計測値なので、過度な期待は抱かないようにした方が賢明です。
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