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軽自動車の燃費表示、10・15モードとJC08モードの違い

燃費表示

車の雑誌やインターネットなんかで車を見ていると、燃費の項目に<10・15モード:30.0km/LJC08モード:26.0km/L>といった風に表記されていることがあります。

10・15モードJC08モードで燃費の数字が違うなと思うと思います。いったいどっちを信用したらいいのかわかりませんよね(^^;)

さて、この10・15モードとJC08モードですが、それぞれ違った基準で車の燃費を測定しています。

従来は10・15モードで測定した燃費しか表記していませんでしたが、10・15モードというのは、テスト時の加速にかける時間が極めて長かったり、測定するスピードが一般道よりも遅いなど、実際の走行状況とは違いが大きく、正しく燃費が表示できていないという問題点がありました。

車を購入したことのある方はわかると思いますが、実際走行すると、カタログ表示されている燃費と実燃費とでは、実燃費の方が、60%〜80%程度になってしまう経験をしたことがあると思います。

そこで、より実燃費に近い表記をするために、測定基準を新たに見直した、JC08モードが登場しました。

10・15モード・JC08モードの違いを比較!

下記の表で、10・15モード・JC08モードの違いを比較してみました。

  JC08モード 10.15モード
測定開始 エンジンが冷えた状態から エンジンが暖まった状態から
平均速度
24.4km/h
22.7km/h
最高速度
81.6km/h
70km/h
所要時間
1204秒
660秒
走行距離
8.172km
4.165km

JC08モードの方が、測定時間が2倍程度に延びており、すべての項目において、10・15モードより厳しい基準になっているのが、わかると思います。


JC08モードの方が測定基準が厳しいので、通常表記されている10・15モードより、燃費は下がる傾向にあります。

これまでの10・15モードでは、実燃費との差が大きく違っていますので、2011年4月1日以降に発売される車は、すべてJC08モードの燃費表示が義務付けられました。

しか〜し!JC08モードであっても、やはり実燃費よりはいい数字がでてしまいますので、本当の実燃費を知りたければ、インターネットの口コミなどを参考にするのが、一番よいでしょう!(^^)

JC08モードに近づけるための運転技術とは?

実際の燃費効率はJC08モードの約8割!

10・15モード、JC08モードはともにガソリン(ディーゼルの場合は軽油)1Lでどのくらいの距離を走行可能か計測したデータです。

この試験走行はアウトドアで実際に計測したものではなく、インドアで、しかもシャーシダイナモと呼ばれる計測器の上で試験を行った結果です。

もちろんシャーシダイナモによる計測は実際の走行に近づけていますが、やはり風の影響や路面状況などによる燃費の違いまでは計測できず、実際の燃費効率よりも高い結果が表れます。

自動車メーカーで構成している日本自動車工業会でも「実際の燃費はJC08モードの約80%」と認めていますが、運転の仕方次第ではJC08モードの値に近づけることは可能です。

以下にJC08モードに近づけるための方法を紹介しますので、燃費向上運転の参考にしてください。

力強く走りたい時は最大トルクを利用する

エンジン特性には最大トルクと最高出力があります。最高出力は後述するとして、まずは最大トルクについて簡単に説明すると、車を力強く押し出す力です。人力による全力疾走に例えるのであれば、地面を蹴る力と思ってください。

車が発進する時は重い車体を走らせるための蹴る力が必要です。つまり最大トルクを利用するわけですが、軽自動車の場合、最大トルクが引き出されるのは3500〜4200回転内に収まっています(ホンダはやや高く4500〜4700回転)。

つまり発進する時はこの回転域までエンジンを回し、加速力がついたところでエンジンの回転を抑えるようにすれば燃費効率が良く、しかもスムーズな走行が可能となるのです。

逆に最大トルクを発揮しない低回転域のまま発進すると燃焼効率が悪くなり、最大トルク以上の回転域までエンジンを回すとガソリンを無駄に使ってしまう結果になります。

速く走りたい時は最高出力を利用する

最大トルクが地面を蹴る力であることに対して、最高出力(馬力)は足を速く回転させる力です。つまり高速道路などで速く走行する時は最高出力を想定して運転すればいいのです。

最近の軽自動車は市街地走行での燃費効率を向上させることからギア比が低く抑えられているため、最高出力は7200〜7600回転と高めに設定されています(ターボ装着車は6500〜7000回転)。

もちろん、ここまでエンジンを回すと高速道路の最高時速制限を超過してしまいますし、最高出力のまま巡航するとエンジンが加熱して壊れてしまいます。

高速道路でスムーズに走るためには高速道路に乗った段階で最高出力領域までエンジンを回し、高速道路を巡航する最低速度まで達したら、後はエンジン回転数を4000〜5000回転にキープすれば快適で燃費効率の良い運転ができます。

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コールドスタートを取り入れたJC08モード!

10・15モードとJC08モードの測定方法は細かく異なっていますが、最大の相違点は上記にあるように、JC08モードはエンジンが冷えた状態から測定することです。

エンジンが燃費効率を高めるのはエンジンが適温になってからの状態なので、冷えた状態から測定すれば燃費数値は下がり、ユーザーが運転する燃費消費に近い数値が検出されることになります。

中高年で長く車に乗っている人なら知っていることですが、古い車にはチョークという機能がついていました。これは寒い冬などにエンジンをかける時、インパネについているチョークボタンを引っ張って始動時のみガソリン供給量を増やす装置です。

これを引っ張ったままエンジンをかけ、戻すのを忘れて走行すると、ガソリン量が多くなりすぎてノッキングやエンストを起こす原因になりました。

ちなみに初期のスカイラインGT-Rは、エンジンをかける前にアクセルを2回半踏み込むことでチョークの代わりとすることがユーザーの密かな儀式であり、優越感でした。

現在このチョークの機能は、電子制御によって自動的に行われています。エンジンの部品は熱によって膨張することが予め計算されており、冷えた状態ではピストンリングがシリンダーに密着した状態になって摩擦抵抗が大きくなります。

摩擦抵抗が大きければそれを動かすために、当然ガソリンを多く使って燃焼室の爆発力を高めなければなりません。現在の車は古い車のように暖機運転を必要としませんが、それでも1〜2分の暖機運転をするだけで燃費効率は高まります。

JC08モードによって各社の燃費技術が高まる!

エンジンが冷えたままの状態で測定するコールドスタートをJC08モードへ導入したことにより、各メーカーもカタログ値を上げるために新たな技術投入を行うようになりました。

その代表的な例が、ダイハツの「e:Sテクノロジー」です。この燃費効率技術によって、ミライースは軽自動車でもトップラクスとなるJC08モード35.2km/Lを達成しました。

e:Sテクノロジーは、燃料噴射装置の改善や排気ガスの再循環化などいろいろあり、CVTサーモコントローラーもそのひとつです。エンジンよりもトランスミッションのCVTの方が早く温まることから、CVTの熱をエンジンに回してエンジンを早く温めるシステムです。

スズキは小型モーターとバッテリーを搭載、エンジンが冷えたままでも高トルクを発生するモーターで走行をアシストするマイルドハイブリッドシステムのSエネチャージを、ワゴンRなど各車に組み込んでいます。

ワゴンRは、トールワゴンの中でトップクラスとなるJC08モード33.0km/Lを記録しました。国土交通省主導による燃費算定法令は、軽自動車の技術発展に大きく寄与しています。

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